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| 所在地 | 東京都北区志茂 |
| アクセス | JR京浜東北・根岸線 赤羽駅 徒歩8分 |
| 販売価格 | 4,980万円 |
| 想定年間収入 | 6,000,000円(500,000円/月) |
| 表面利回り | 12.04% |
| 建物構造 | 木造 |
| 築年月 | 1960年12月(築66年) |
| 現況 | 賃貸中 |
| 地目 | 宅地 |
| 都市計画区域 | 市街化区域 |
| 用途地域 | 第一種住居地域 |
| 土地権利 | 所有権 |
| 土地面積 | 37.69㎡(公簿) |
| 建物面積 | 58.24㎡ |
| 間取り | 2DK×2戸(25.00㎡〜26.00㎡) |
| 階数 | 2階建て |
| 総戸数 | 2戸 |
| 駐車場 | 無 |
| 建ぺい率 | 60% |
| 容積率 | 200% |
| 接道状況 | 公道 東4.30m/私道 北2.00m(二方) |
| 取引態様 | 一般媒介 |
本物件は1960年12月竣工の木造2階建てで、2DK×2戸という構成です。
2019年に外壁・屋根・内装の大規模リフォームが実施されており、旅館業の許可取得により365日の営業が可能な状態にあります。
売主資料によれば、過去1年間の売上平均は月50万円〜60万円とのことです。
本物件を検討するうえでまず押さえておきたいのが、築66年という経過年数です。
1960年竣工は新耐震基準(1981年6月適用開始)よりはるかに前であり、本物件は旧耐震基準で設計された建物にあたります。
旧耐震物件は金融機関の担保評価が下がりやすく、売却時の買い手も限られやすい点は織り込んでおくべき条件でしょう。
一方、木造であることはプラスにも働きます。
RC造のような大規模修繕を要する構造ではなく、部分補修で対応できる範囲が広いため、維持管理コストそのものは比較的抑えやすいといえます。
ただし給排水管の更新有無は資料に記載がないため、購入前の確認が必要です。
さらに賃貸物件として見る場合に無視できないのが、浴室・洗面・トイレが一体となった3点ユニットである点です。
短期滞在の宿泊用途なら許容されやすい仕様ですが、賃貸市場では敬遠されやすく、賃料や入居付けの面で不利に働く可能性が高いでしょう。
赤羽駅はJR京浜東北線・宇都宮線・高崎線・湘南新宿ラインなど複数路線が乗り入れるターミナル駅で、東京駅・新宿駅ともに20分圏内という好立地です。
近年は再開発と商業集積が進み、住みたい街として取り上げられる機会も増えました。
徒歩8分という距離は、賃貸・宿泊のいずれの用途においても訴求力のある条件といえます。
また北区の人口は2015年の338,084人から2024年には357,701人へと増加を続けており、対前年比も2023年+0.7%、2024年+1.12%と堅調な推移です。
公示地価も2015年の400,375円/㎡から2025年には664,355円/㎡へと上昇し、2025年の対前年比は+9.93%と東京都全体の+8.70%を上回りました。
つまりエリアそのものの評価は高く、土地の資産性という点では下支えが期待できる立地です。
土地面積37.69㎡と小規模ではあるものの、地価が上昇基調にあることは出口を考えるうえで安心材料となるでしょう。
冒頭でも触れたとおり、本物件の想定年間収入600万円は家賃ではなく、宿泊事業の売上です。
この違いは、思っている以上に大きな意味を持っています。
賃貸物件の家賃は、入居者が決まればあとは毎月ほぼ自動的に入ってくるお金です。
一方の宿泊売上は、集客・清掃・備品補充・ゲストとのやり取りなどを経てはじめて成立する事業収入であり、同じ600万円でも、そこに至るまでにかかる手間とコストがまるで異なります。
では、旅館業の運営にはどの程度のコストがかかるのでしょうか。
主なものを挙げると、予約サイトへの手数料、清掃費、リネンや消耗品費、水道光熱費、運営代行を使う場合はその委託料などが該当します。
物件の規模や運営方法によって幅はあるものの、どんなに少なく見積もっても売上の50%程度は見ておいたほうが良いといえるでしょう。
この前提で計算し直すと、次のようになります。
| 金額 | 物件価格に対する利回り | |
| 年間売上(掲載値) | 6,000,000円 | 12.04% |
| 運営コスト(売上の50%と仮定) | ▲3,000,000円 | — |
| 差引後の収入 | 3,000,000円 | 6.02% |
12.04%という数字が、手元に残るベースで見ると6%前後まで下がってきます。
これは北区・赤羽駅周辺の1棟アパートの平均利回り(2025年時点で6.1%前後)とほぼ同じ水準であり、掲載されている数字ほどの優位性はないと考えておいたほうが安全でしょう。
しかもこの6.02%は、稼働が今と同じ水準で続くことが前提です。
宿泊需要は季節や景気、為替の影響を受けやすく、家賃収入に比べると振れ幅が大きくなります。
では、宿泊事業をやめて普通の賃貸物件として貸した場合はどうなるでしょうか。
赤羽駅徒歩8分・専有面積58㎡・築50年・2階建て・3K/3DK/4DKという条件を設定して賃料相場を査定したところ、次の結果となりました。
| 賃料相場(範囲) | 122,648円〜200,066円 |
| 賃料相場(中央値) | 161,357円 |
1棟をまるごと1世帯に貸す場合、月16万円前後が目安になりそうです。
仮に中央値どおりに貸せたとしても年間194万円ほどで、表面利回りは3.89%まで下がります。
なお2DK×2戸に分けて貸す想定であれば、25㎡・2DKの査定は中央値70,080円でしたので、2戸合計で月14万円ほどという計算です。
ただし、この査定はあくまで一般的な物件を前提としたものである点に注意が必要です。
実際には築66年で3点ユニットという条件が加わるため、中央値どおりの賃料が取れるかというと、なかなか難しいかもしれません。
相場レンジの下限に近い水準を想定しておくほうが現実的といえるでしょう。
TSONが提供する「勝率一番」は、収益性・返済余裕率・損益分岐入居率に加え、土地の資産性やエリアの人口動向・賃料トレンドまでを組み合わせて、投資の勝率をスコア化するツールです。
表面利回りだけでは見えてこない、返済後に手元に残るお金や空室への耐性まで含めて評価できる点が特徴です。
今回は収入の前提を変えた2パターンで分析しました。
金利2.0%・返済期間35年は共通としつつ、運営費用は事業形態に合わせてパターンAを50%、パターンBを20%に設定しています。
なお、シミュレーション条件下でのパターンAの表面利回りは12.05%(年間収入600万円÷物件価格4,980万円)で算出されており、掲載値の12.04%とはわずかに差異があります。


年間収入600万円、運営費用を売上の50%として計算した結果です。
| 指標 | 値 | 評価 |
| 表面利回り | 12.05% | 高水準 |
| キャップレート | 6.02% | 標準的 |
| DSCR(借入償還余裕率) | 1.9 | 非常に安全 |
| BER(損益分岐入居率) | 76.8% | やや不安 |
| DSR(返済比率) | 26.8% | 非常に安全 |
| 初年度ATCF(税引後CF) | 1,673,784円 | — |
| 10年売却時IRR | 12.64% | — |
勝率は100%という結果です。
運営コストを半分見込んでもなお、初年度に167万円のキャッシュが残り、10年間のIRRは12.64%に達します。
レバレッジ効果も「あり」と判定されました。
旅館業として現在の売上水準を維持できるのであれば、事業としては十分に成立するといってよさそうです。
ただし、表面利回り12.05%に対してキャップレート(NOI÷物件価格)は6.02%まで下がります。
前章で見た「実質6%前後」という試算と一致する数字です。
北区の1棟アパートの平均利回りが6%台であることを踏まえると、手間のかかる宿泊運営を担って、ようやく賃貸物件の平均並みの収益率という見方もできるでしょう。
もうひとつ押さえておきたいのがBER76.8%という数値です。
稼働率は53%程度が損益分岐点であり、これを下回るとキャッシュフローが赤字に転じます。
裏返せば半分強の稼働を維持できればよいわけですが、宿泊需要は季節や景気の影響を受けやすいため、賃貸物件の入居率とは違った目線での管理が求められそうです。


続いて、宿泊事業をやめて賃貸物件として月15万円で貸した場合(年間180万円)の結果です。
| 指標 | 値 | パターンAとの差 |
| 表面利回り | 3.61% | ▲8.44pt |
| キャップレート | 2.89% | ▲3.13pt |
| DSCR(借入償還余裕率) | 0.8 | ▲1.1(悪化) |
| BER(損益分岐入居率) | 114.9% | +38.1pt(悪化) |
| DSR(返済比率) | 94.9% | +68.1pt(悪化) |
| 初年度ATCF(税引後CF) | 387,299円 | ▲約129万円 |
| 10年売却時IRR | ▲0.03% | ▲12.67pt |
勝率は57%まで下がりました。
収支に関わるA〜Cの3軸がそろって危険水準に振れており、とくに厳しいのがBER114.9%という数値です。
損益分岐入居率が100%を超えているということは、満室で貸せていても収支が成り立たないという意味になります。
DSCR0.8も、NOIが年間返済額の8割しかカバーできていない状態を示しており、1.0未満は「返済を収入で賄えない危険水準」に分類される領域です。
つまり本物件は、旅館業として運営することを前提に価格が決まっている物件といえます。
賃貸に切り替えるという「逃げ道」は、この価格では成立しないと考えておくべきでしょう。
パターンBの初年度ATCFは38.7万円のプラスですが、この数字には少し注意が必要です。
築66年の木造は法定耐用年数22年をすべて経過しているため、税務上の償却年数は簡便法により4年となります。
売買価格4,980万円のうち建物価格をどう配分するかは契約内容によりますが、仮に建物価格を1,300万円とした場合、年間の減価償却費は325万円という計算です。
この経費が課税所得を押し下げてくれるおかげで、初年度からのキャッシュフローがプラスに乗っています。
裏を返せば、この効果は4年で消えます。
実際、シミュレーション上のATCFは4年目まではプラスで推移するものの、償却が終わる5年目には赤字へと転落し、以降は赤字が続く結果となりました。
この構造はパターンAでも同じように働くため、償却期間中の数字だけを見て判断すると、実態を見誤りかねません。
築古物件の節税効果には必ず期限がある、という点は押さえておきたいところです。
ここまでのシミュレーションは金利2.0%・返済期間35年を前提としていますが、本物件についてはそもそもこの条件で融資が引けるのかという点から検討が必要です。
旅館業として運営する物件は賃貸経営ではなく宿泊事業の扱いとなるため、アパートローンの枠には収まらず、プロパーローンでの対応となるケースが一般的です。
審査では物件の担保価値だけでなく、稼働率の見込みや集客方法、運営体制といった事業計画の中身が問われるため、事業実績のない個人にとっては、相応にハードルの高い調達となりそうです。
また融資額の目安も気になるところです。
築66年・木造は法定耐用年数22年を44年超過しており、建物評価はゼロと見なされる可能性が高いといえます。
担保として評価されるのは土地のみ、しかも面積は37.69㎡と小ぶりです。
販売価格4,980万円に対して融資が土地値相当にとどまるとすれば、残りは自己資金で埋める必要が出てきます。
なお、宿泊事業として取り組む場合は創業・新規事業向けの補助金を活用できる可能性もありますので、融資以外の選択肢もあわせて検討したいところです。
ここまで見てきたとおり、本物件の収益性は旅館業として運営することを前提に成り立っています。
運営コストを50%見込んでも事業として成立する試算が出ている以上、すでに宿泊事業のノウハウを持ち、集客や運営を自前で回せる事業者にとっては検討の余地があるといえるでしょう。
旅館業の承継が可能な点や、現運営会社に委託を継続できる点も、参入のハードルを下げる材料になりそうです。
一方、ノウハウのない方が手を出すには、購入までの調査にも、購入後の運営にも相当な手間がかかります。
価格面でも、築66年・旧耐震・3点ユニットという条件を踏まえれば、もう少し安く取得できてはじめて妙味が出てくる、というのが率直なところではないでしょうか。
賃貸に転用した場合の勝率は57%、満室でも収支が均衡しないという結果でした。
手間をかけずに家賃収入を積み上げたい方、これから資産を築いていきたい方にとって、本物件は適した対象とはいえません。
長期的な資産形成を目的とするのであれば、融資期間を確保しやすく、入居期間も長くなりやすい新築のファミリー向け物件のほうが、収支計画を立てやすい選択肢となるでしょう。
数字そのものは正しいのですが、分子にあたる600万円が家賃ではなく旅館業の売上である点に注意が必要です。
集客・清掃・消耗品・水道光熱費といった運営コストが差し引かれますので、実際に手元へ残るベースで見ると6%前後まで下がります。
売主から過去の実績資料を取り寄せ、売上だけでなく運営経費まで含めた収支を確認しておくことをおすすめします。
シミュレーション上は難しいという結果でした。
月15万円で貸した場合の勝率は57%、BER(損益分岐入居率)は114.9%となり、満室でも収支が成り立たない計算になります。
本物件は旅館業としての運営を前提に価格が形成されていますので、賃貸への切り替えを「保険」と考えるのは避けたほうがよさそうです。
創業支援や新規事業展開を対象とした補助金は存在します。
ただし公募期間や要件は年度ごとに変わりますので、最新の情報を確認する必要があるでしょう。
また自治体独自の制度が用意されている場合もあるため、取得を検討する段階で中小企業庁のミラサポplusや東京都・北区の産業振興窓口にあたっておくとよいでしょう。
本物件は、不動産投資というより宿泊事業への投資として捉えるべき案件です。
数字の見え方は「宿泊事業を自分で回せるかどうか」という一点に強く左右されますので、ノウハウをお持ちの方にとっては選択肢になりますが、そうでない方には手離れの悪い物件となりかねません。
手間をかけずに資産を積み上げていきたいのであれば、新築のファミリー向け物件を検討されるほうが現実的でしょう。
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新卒で株式会社リクルートに入社したのち、20代のうちに起業する。
2014年株式会社鎌倉新書取締役に就任、同社はマザーズに上場(現在はプライム市場)。
リーマンショック後に個人で不動産投資を始める。地方築古、区分マンション、民泊運営、中古RC、新築RCなどの投資を経験。
自身のITスキルを活かして、情報収集ツールや物件の収益分析ツールを自作し、最小の労力で最良の意思決定をすることを強みにしている。
京都大学農学部卒業。
7億件の不動産ビッグデータから、投資勝率をAIがスコアで可視化。投資判断で欠かせない重要指標だけでなく、立地の将来人口予測、地価上昇、賃料動向も瞬時にグラフ化します。物件購入時の見えないリスクを教えてくれます。
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