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不動産業界では、一般的にRC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)で建てられた集合住宅を「マンション」、木造や軽量鉄骨造で建てられた集合住宅を「アパート」と呼ぶ慣習があります。
ただしこの区分は法律で定められたものではなく、明確な定義というものは存在しません。
実務上は構造と規模によって区別されることが多く、3〜4階建て以上のRC造集合住宅が「一棟マンション」、2〜3階建ての木造・軽量鉄骨造集合住宅が「一棟アパート」として流通するケースが大半です。
RC造は鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造で、耐火性・遮音性・耐震性に優れています。
ただし建物の重量が大きくなるため、地盤や設計への要求水準が高く、建築コストも高くなる傾向があります。
一方の木造は、柱や梁などの主要構造部に木材を使用した工法です。
RC造と比べて建築コストを抑えやすく、工期も短い傾向にあることから、一棟投資の入り口として選ばれやすい構造といえるでしょう。
この構造の差が、以降で解説する耐用年数・融資・利回り・出口のすべてに影響してきます。

建物には税務上の「法定耐用年数」が定められており、国税庁「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によると、住宅用のRC造は47年、木造は22年とされています。
この耐用年数は、建物の価値を毎年少しずつ経費として計上する「減価償却」の期間を決めるための基準です。
実際の建物の寿命とは異なりますが、金融機関が融資条件を設定する際の重要な指標として用いられます。
融資期間を考えるうえで重要なのが「残存耐用年数」という概念です。
残存耐用年数とは、法定耐用年数から現在の築年数を差し引いた年数のことで、金融機関がアパートローンの融資期間の上限を設定する際の目安として用いられます。
たとえば築10年の木造アパートであれば残存耐用年数は12年、同じ築10年のRC造マンションであれば37年という計算です。
融資期間が短くなるほど月々の返済額が増え、手元に残るキャッシュフローは圧迫されます。
そのため物件選びの際は、同じ購入価格・同じ金利であっても、構造と築年数の組み合わせで月々の返済額が大きく変わる点を意識する必要があります。
以下は、購入価格1億2,000万円・自己資金20%(融資額9,600万円)・金利2%・元利均等返済を基本条件とした試算です。
〈前提条件〉
| 構造・築年数 | 残存耐用年数 | 想定融資期間 | 月次返済額(概算) |
| 木造・築10年 | 約12年 | 最長12年前後 | 約79万円 |
| RC造・築10年 | 約37年 | 最長37年前後 | 約31万円 |
※金融機関によって融資期間の設定基準は異なるため、あくまで試算上の参考値としてご確認ください。
同じ融資額でも、融資期間の異なる木造・RC造では月次返済額に約48万円の差が生じることがわかります。
家賃収入が同水準の場合、残存耐用年数の短い木造物件は手残りキャッシュフローが大幅に少なくなる計算です。
地方銀行を中心に、多くの金融機関では残存耐用年数を融資期間の上限として運用する傾向があります。
RC造は耐用年数の長さから融資期間を長く確保しやすく、金融機関の評価を得やすい構造といえるでしょう。
一方の木造は、築年数が進むほど残存耐用年数が短くなり、融資期間の制約を受けやすくなります。
また金融機関によってはRC造に対して耐用年数以上の融資期間を設定するケースもありますが、木造で同様の対応を受けられる金融機関は限られます。
購入時の融資条件の差は、保有中のキャッシュフローだけでなく、将来の売却時に買い手が融資を組めるかどうかにも影響するため、構造による融資評価の違いは投資計画全体で把握しておく必要があるでしょう。

表面利回りとは、年間家賃収入を物件価格で割った数値で、収益性をおおまかに示す指標です。
取得コストが低いほど、同じ家賃収入でも表面利回りは高く出るという仕組みになっています。
木造アパートはRC造マンションと比べて建築コストや購入価格を抑えやすく、同じエリア・同じ戸数であれば表面利回りを高く出しやすいという特徴があります。
一方のRC造マンションは取得コストが大きくなりやすい分、表面利回りは控えめになりやすいといえるでしょう。
ただし表面利回りはあくまで購入時点の目安であり、保有期間中の収益性を正確に反映するものではない点に注意が必要です。
物件の収益性を正確に把握するには、管理費・固定資産税・空室損失などの費用を差し引いた「実質利回り」で比較することが重要です。
木造・RC造のどちらも、保有期間中には外壁・屋根・給排水設備・電気設備などの修繕が発生します。
RC造は構造体の耐久性が高い分、大規模修繕の周期が長くなりやすいという特徴があります。
一方の木造は修繕項目が比較的シンプルになりやすく、修繕計画を立てやすいという側面があるでしょう。
いずれの構造においても、修繕計画と費用をあらかじめ見込んだうえで収益シミュレーションを行うことが、投資判断の精度向上につながります。
利回りと並んで見ておきたいのが、税務上の「減価償却」の効果です。
減価償却とは、時間経過による建物価値の減少分を毎年経費として計上できる仕組みのことで、耐用年数が短いほど年間の計上額が大きくなり、課税所得の圧縮効果を高めやすくなります。
木造(法定耐用年数22年)はRC造(同47年)と比べて償却期間が短いため、保有初期に大きな減価償却費を計上しやすく、所得税の節税効果を得やすいといえるでしょう。
一方のRC造は償却期間が長い分、毎年の計上額は小さくなりますが、長期にわたって安定的に経費計上を続けられるという見方もできます。
どちらが有利かは保有期間・税務状況・投資目的によって異なるため、税理士など専門家への相談も含めて検討することが重要です。

一棟収益物件を売却する際、買い手の多くは金融機関からの融資を活用して購入するため、売却時点で買い手が融資を組めるかどうかが売却価格に直接影響します。
融資条件を左右するのは、ここでも残存耐用年数です。
たとえば木造アパートを新築で取得し、20年後に売却しようとした場合、残存耐用年数はわずか2年となり、買い手が長期融資を組むことが難しくなります。
融資期間が短くなると月々の返済額が増えるため、買い手にとって購入しにくい物件となり、結果として売却価格が下がりやすくなるという構造的な課題があります。
一方、RC造マンションを新築で取得し同じく20年後に売却する場合は、残存耐用年数が27年残るため次の買い手が長期融資を組みやすく、出口の選択肢が広がりやすいといえるでしょう。
保有年数が長くなるほど、構造による出口の差は大きくなる点は、購入前に意識しておきたいポイントです。
国土交通省「不動産価格指数」によると、全国のマンション(区分所有)価格は2013年頃から継続的に上昇しており、2024年(令和6年)7月時点の指数は202.2(2010年=100)と、2010年比で2倍以上の水準に達しています。
この指数は区分マンションを対象としたものであり、一棟収益物件の売却価格を直接示すものではありませんが、RC造を主体とするマンション市場全体の資産価値が長期的に上昇していることの傍証として参照できるでしょう。
ただし一棟収益物件の売却価格は、こうした市場環境だけでなく、物件の入居率・賃料水準・残存耐用年数・融資環境などが複合的に影響します。
売却時点での収益力の高さが評価につながるという点では、構造を問わず保有中の空室対策や賃料維持を適切に行えるかどうかが出口戦略の土台になるといえるでしょう。

取得コストを抑えて高い表面利回りを確保したい場合や、保有初期の減価償却効果を活用したい場合は、木造アパートが有力な選択肢となります。
初期投資を抑えられる分、自己資金の余力を残しやすく、次の物件取得に向けた資金計画を立てやすいという側面があります。
ただし、保有年数が経過するにつれて残存耐用年数が短くなるため、売却時期の見極めを早い段階から意識しておくことが重要です。
出口を想定した保有期間の設定が、木造アパート投資の成否を左右するといえるでしょう。
長期にわたって安定した収益を得ながら資産を積み上げたい場合は、RC造マンションが選択肢として挙がりやすくなります。
法定耐用年数47年という長さは、融資期間の確保・保有中のキャッシュフロー安定・売却時における買い手の融資のしやすさという3つの面で有利に働きます。
取得コストが高くなる分、初期の自己資金負担は大きくなりますが、長期保有を前提とすれば修繕コストの予測や資産価値の維持という点でメリットが出やすい構造といえるでしょう。
A. 法律上の明確な定義はありません。
不動産業界では慣習的に、RC造・SRC造の集合住宅を「マンション」、木造・軽量鉄骨造の集合住宅を「アパート」と呼ぶことが多くなっています。
物件を検討する際は、呼び名よりも構造・耐用年数・融資条件を軸に判断することが重要です。
A. 築年数によっては融資期間が短くなりやすい点に注意が必要ですが、築浅・新築であれば残存耐用年数が十分に残っているため、融資を受けやすい状況といえます。
新築木造アパートであれば、法定耐用年数22年をフルに活用した融資期間を設定してもらいやすいでしょう。
なお金融機関ごとに審査基準は異なるため、複数の金融機関に相談することが重要です。
A. 一概にはいえませんが、初期投資額を抑えやすい木造アパートは、一棟投資の入り口として選ばれやすい傾向があります。
一方、RC造マンションは取得コストが高くなる分、融資・出口の安定性という面で長期保有に向いています。
どちらが適しているかは投資目的・自己資金・保有期間の想定によって異なるため、まずは自身の投資目標を明確にしたうえで検討することをおすすめします。
どちらの構造にも明確な強みがあり、投資目的・保有期間・自己資金の状況によって最適な選択は異なります。
自身の投資目標に合った構造・物件を選ぶためには、融資条件や収益シミュレーションを含めた個別の検討が欠かせません。
一棟収益物件への投資を検討している方は、ぜひTSONの無料会員登録をご活用ください。
会員登録後は専門スタッフへの無料相談が可能で、融資計画や物件選定について個別にサポートを受けることができます。
新卒で株式会社リクルートに入社したのち、20代のうちに起業する。
2014年株式会社鎌倉新書取締役に就任、同社はマザーズに上場(現在はプライム市場)。
リーマンショック後に個人で不動産投資を始める。地方築古、区分マンション、民泊運営、中古RC、新築RCなどの投資を経験。
自身のITスキルを活かして、情報収集ツールや物件の収益分析ツールを自作し、最小の労力で最良の意思決定をすることを強みにしている。
京都大学農学部卒業。
7億件の不動産ビッグデータから、投資勝率をAIがスコアで可視化。投資判断で欠かせない重要指標だけでなく、立地の将来人口予測、地価上昇、賃料動向も瞬時にグラフ化します。物件購入時の見えないリスクを教えてくれます。
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