【新築アパート】建築費がかかるのはどの部分?コスト構造と利回りへの影響を徹底解説

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【新築アパート】建築費がかかるのはどの部分?コスト構造と利回りへの影響を徹底解説
新築アパートへの投資を検討するうえで、多くの方が最初に着目するのが「利回り」の部分です。
しかし、その利回りを左右する根本的な要素のひとつが建築費のコスト構造であることは見落とされがちです。

建築費がどこにどれだけかかるのかを理解しないまま投資判断を進めると、利回りを過大に見積もったり、想定外のコストが発生したりするリスクが生じます。
近年は資材価格や人件費の上昇を背景に建築費が高止まりしており、コストの実態を把握することの重要性はかつてより増しているといえるでしょう。

そこでこの記事では、建築費の内訳とコスト上昇の背景、また仕様グレードと利回りの関係などを順に解説します。
一棟アパートへの投資をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。

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新築アパートの建築費はいつまで上がり続ける?

工事費の上昇トレンド

新築アパートを含む住宅建設にかかる工事費は、近年一貫して上昇傾向にあります。
国土交通省「建築着工統計調査」によると、2022年から2024年にかけて3年連続で新設住宅の着工床面積が減少しているにもかかわらず、工事費予定額の合計は増加が続いています。

つまり、建てる量が減っているのに費用の総額は増えているという状況であり、1平方メートルあたりの工事単価が着実に上昇しているといえるでしょう。
この傾向は居住用・非居住用を問わず建築物全般に共通しており、構造的なコスト上昇が起きていると見ることができます。

参照:国土交通省「建築着工統計調査

上昇の主な背景

建築費が上がり続けている背景には複数の要因があり、まず人件費の継続的な上昇が挙げられます。
国土交通省が毎年公表している「公共工事設計労務単価(建設現場で働く技能者の賃金水準を示す指標)」によると、2026年3月適用分は全国・全職種の単純平均で前年度比+4.5%となり、14年連続の上昇を記録しました。
人件費は建築費の中でも大きな割合を占めるため、この継続的な上昇が工事費全体を押し上げる要因となっています。

また輸入木材の価格上昇(いわゆるウッドショック)や、円安による輸入資材のコスト増といった資材価格の高騰も建築費を押し上げる要因のひとつです。
最近は中東情勢の緊迫化による石油系建材の供給不安も、新たな上昇圧力として業界内で注視されています。

参照:国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について

地域差の影響

建築費の水準は、建築する地域によっても異なります。
首都圏や都市部では、人件費の高さや狭小地における作業効率の低下(重機の搬入制限や資材置き場の確保難)などにより、地方と比べて工事費が高くなる傾向にあるためです。

同じ構造・同じ規模のアパートでも、建築地が都市部か地方かによって総額で数百万円以上の差が生じるケースも少なくありません。
そのため全国的な動向はあくまで参考として捉え、建築予定地のエリアにおける工事費の実態は複数の施工会社から見積もりを取って確認することが重要です。

建築費の内訳はどうなっているのか

3つの費用カテゴリ

新築アパートの建築にかかる費用は、大きく本体工事費・別途工事費・諸費用の3つのカテゴリに分けて整理することができます。

本体工事費は、建物の基礎・骨組み・外装・内装・設備など、アパート本体の建築に直接かかる費用です。
別途工事費は、外構(駐車場・アプローチ・植栽など)や地盤改良・既存建物の解体といった付帯的な工事費用を指します。
諸費用には、設計料・建築確認申請費用・登記費用・ローン関連費用などが含まれます。

一般的には、本体工事費が費用全体の約70〜80%を占め、残りを別途工事費と諸費用が構成するとされています。
別途工事費は土地の状況によって金額が大きく変わるため注意が必要ですが、ひとまずの概算を出す際には「本体工事費÷0.7」を総額の目安として使うと、コスト全体を把握しやすくなるでしょう。

本体工事費の内訳

本体工事費をさらに細かく分類すると、躯体・仕上げ・設備の3区分に分けて考えることができます。

躯体とは、建物を支える基礎・柱・梁・壁・屋根といった構造部分のことで、構造の種類(木造か鉄骨造か)によってコストが大きく変わります。
仕上げとは、外壁・内壁・床・天井など、建物の見た目や居住性に関わる部分のことです。
設備は、キッチン・浴室・トイレ・給排水・電気・空調などを指します。

一般的な費用割合の目安は、躯体が約40%、仕上げが約40%、設備が約20%とされていますが、実際の比率は仕上げと設備のグレード選択によって大きく変動します。
選択するグレードによって具体的にどの程度コストが変動するのかは次章で詳しく見ていきましょう。

仕様グレードが利回りに与える影響とは

グレード選択によるコストの変動

新築アパートの建築費のうち、仕様グレードの選択によって最も大きく変動するのが仕上げと設備の部分です。
具体的には、外壁材の種類・キッチンのグレード・浴室(ユニットバス)の仕様・床材・建具・省エネ設備(断熱材や太陽光パネルなど)といった項目がコストに直接影響します。

たとえば標準的な仕様のユニットバスをひとつ上のグレードに変更するだけで、1戸あたり数十万円単位のコスト増になることも珍しくありません。
複数戸のアパートでこうした選択が積み重なれば、建築費全体で数百万円単位の差が生じる可能性もあります。

またグレードの変更によって建築費が増加すると、その分だけ表面利回り(年間家賃収入÷建築費×100)が下がる構造になります。
表面利回りとは、経費を考慮せずに建築費と家賃収入だけで計算したシンプルな利回りの指標です。

たとえば建築費8,000万円・年間家賃収入600万円というケースでは表面利回りが7.5%になりますが、建築費が8,500万円に上がると同じ家賃収入でも表面利回りは約7.1%まで低下します。
コストと利回りは直接連動する関係にあるため、仕様の選択は収益計画の根幹に関わる判断といえるでしょう。

「家賃への転嫁可能性」で判断する

グレードアップに伴うコスト増が利回りを下げる一方で、仕様の充実が入居率の向上や家賃水準の維持につながる場合もあります。
重要なのは、「かけたコストを家賃に転嫁できるかどうか」という視点です。

特にファミリー向けアパートでは、キッチンの使いやすさ・浴室の広さ・収納量・断熱性能といった設備の充実度が入居者の物件選びに大きく影響します。
設備への高い満足度を確保できれば入居期間が長くなり、原状回復費用や募集コストの発生頻度も下がるため、トータルの収益性に好影響をもたらすことが期待できるでしょう。

過剰仕様のリスク

一方で、仕様のグレードを上げれば上げるほど良いというわけではありません。
物件が立地するエリアの賃料相場を超えた設備投資は、利回りの悪化につながるリスクがあります。

たとえば、賃料相場が月8万円程度のエリアで設備水準を月12万円クラスに引き上げても、実際に取れる家賃は相場に引っ張られるため、コストだけが先行してしまいます。
仕様グレードを決める際は「そのエリアの入居者が求める水準に合っているか」「コストの増加分を家賃に反映できるか」の2点を軸に判断することが重要です。

建築費から利回りを逆算する考え方

表面利回りと実質利回りの違い

新築アパートの収益性を判断するうえで、まず理解しておきたいのが表面利回りと実質利回りの違いです。
表面利回りは「年間家賃収入÷建築費×100」で求められる、最もシンプルな利回りの指標です。
一方、実質利回りは「(年間家賃収入-年間経費)÷(建築費+諸費用)×100」で計算され、管理費・修繕費・固定資産税・空室損失などの経費を差し引いた、より現実に近い収益性を示します。

表面利回りだけを見て投資判断を行うと、実際の手残りが大きく下回るケースがあるため注意が必要です。
表面利回りはあくまで比較のための参考値と捉え、実質利回りで収益を検証する習慣を持つようにしましょう。

コストと利回りの関係をシミュレーションで確認

ここでは、以下の前提条件をもとに建築費と利回りの関係を確認してみましょう。

  • 総建築費:6,000万円
  • 想定月額家賃:1戸あたり10万円×6戸=60万円
  • 年間家賃収入:720万円
  • 経費率:20%(管理費・修繕積立・固定資産税・空室損失等の合計を想定)
総建築費6,000万円
年間家賃収入720万円
表面利回り12.0%
年間純収益(経費率20%控除後)576万円
実質利回り9.6%

次に、建築費が500万円増加して6,500万円になった場合を見てみましょう。
年間家賃収入が同じ720万円であれば、表面利回りは約11.1%、実質利回りは約8.9%まで下がり、建築費のわずかな変動が利回りに直結することが分かります。

建築費6,000万円建築費6,500万円
表面利回り12.0%約11.1%
実質利回り(経費率20%)9.6%約8.9%

なお、このシミュレーションはあくまで計算構造を示したものであり、実際の投資判断では自身の物件条件・エリアの賃料水準・融資条件を組み合わせた個別のシミュレーションを行うことが不可欠です。
賃料水準が落ちにくいエリアの選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。

新築アパートの建築費に関するよくある質問

Q1. 建築費の見積もりは何社くらいから取るべきですか?

A. 一般的には3社以上から相見積もりを取ることが推奨されています。
建築費は施工会社によって大きく異なる場合があり、同じ仕様・同じ延べ床面積であっても、数百万円単位の差が生じることも珍しくありません。
複数社の見積もりを比較することで価格の妥当性を判断しやすくなり、また各社の提案内容や仕様の違いを把握できるといった利点があります。

Q2. 建築費を抑えるために仕様を下げすぎると、どのような問題が起きますか?

A. 仕様を必要以上に抑えると、入居者が求める設備水準を下回り、空室が埋まりにくくなるリスクがあります。
特にファミリー向けアパートでは、キッチンや浴室の使いやすさが入居判断に直結するため、エリアの賃料水準と照らし合わせながら適切なグレードを選ぶことが重要です。

Q3. 建築費が高騰していても、新築アパートへの投資は成立しますか?

A. エリア・仕様・資金計画の組み合わせ次第で、収益性を確保することは可能です。
建築費の上昇は利回りを圧迫する要因になりますが、一方で賃料水準も上昇傾向にあるエリアでは、収益の下支えが期待できます。
重要なのは、建築費・想定賃料・融資条件を総合的に検証したうえで、実質利回りが成立するかどうかを確認することです。

まとめ

  • 新築アパートの建築費は本体工事費・別途工事費・諸費用の3層構造で成り立っており、本体工事費だけでなく総建築費ベースで収益を検証することが重要
  • 国土交通省「公共工事設計労務単価」が14年連続で上昇するなど、人件費の高騰が建築費を押し上げる要因となっており、コスト上昇は今後も続く可能性がある
  • 仕様グレードの選択はコストと利回りに直結するため、「そのエリアの賃料相場に転嫁できるか」という視点で判断することが収益性を左右する

建築費のコスト構造を正しく理解することが、新築アパート投資における収益計画の精度を高める第一歩となります。
利回りの数字だけに目を向けるのではなく、何にどれだけかかっているかを把握したうえで投資判断を行うことが、長期的な安定経営につながるでしょう。

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増澤 貞昌

増澤 貞昌

不動産投資家 宅地建物取引士 令和3年行政書士試験合格

新卒で株式会社リクルートに入社したのち、20代のうちに起業する。
2014年株式会社鎌倉新書取締役に就任、同社はマザーズに上場(現在はプライム市場)。
リーマンショック後に個人で不動産投資を始める。地方築古、区分マンション、民泊運営、中古RC、新築RCなどの投資を経験。
自身のITスキルを活かして、情報収集ツールや物件の収益分析ツールを自作し、最小の労力で最良の意思決定をすることを強みにしている。
京都大学農学部卒業。

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