学んだ知識を、今すぐ実践。
AI物件診断ツール「勝率一番」
成功確率をAIがスコアリング
○年後のCFまで可視化
何回でもシミュレーション可能
すべてLINEで受け取れます
すべてLINEで受け取れます

国税庁は、建物などの減価償却資産を「時の経過等によってその価値が減っていく」資産として定義し、取得に要した金額はその資産の使用可能期間にわたって分割して必要経費とすべきものとしています。
そのため会計上では、建物や設備といった減価償却資産の取得費用を一括で経費にするのではなく、使用可能な期間にわたって少しずつ経費計上する仕組みとなっており、これを減価償却といいます。
不動産投資においては、この減価償却費を毎年の不動産所得から差し引くことで、課税対象となる所得の圧縮効果を見込めるのが特徴です。
減価償却の対象となるのは、建物など「時の経過とともに価値が減少する資産」に限られます。
たとえば土地は年数が経過しても会計上は価値が変わらないものとして扱われるため、減価償却の対象には含まれません。
つまり、一棟アパートを購入した場合でも、償却できるのは建物部分の取得価額のみであり、土地部分は経費計上できないということです。
物件購入時に土地と建物の価額をどのように按分するかが、減価償却の計算において重要な前提となります。
減価償却費の計算方法には定額法と定率法がありますが、現在(平成10年4月1日以後に取得した建物)は定額法のみが認められています。
定額法とは、毎年同じ金額を一定期間にわたって経費計上する方法です。
計算式は「建物の取得価額 × 償却率」で、償却率は法定耐用年数によって決まります。
たとえば木造住宅用建物(法定耐用年数22年)の償却率は0.046であり、建物取得価額が5,000万円であれば年間230万円が減価償却費として計上できる計算です。
参考: 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」

減価償却の計算において、償却期間の基準となるのが「法定耐用年数」です。
法定耐用年数とは、資産の使用可能期間として国が財務省令で定めた年数のことで、木造の住宅用建物(賃貸アパートを含む)については法定耐用年数22年、償却率0.046とされています。
なお、法定耐用年数はあくまで税務上の計算基準であり、建物の実際の寿命(物理的耐用年数)とイコールではありません。
適切にメンテナンスを行えば、法定耐用年数を超えた後も賃貸物件として運用できるケースもあります。
法定耐用年数が22年だからといって、「22年後に建物の価値がゼロになる」という意味ではありません。
税務上の価値と市場における売却価格は別の概念であるため、築22年を超えた木造アパートであっても、エリアの需要や建物の状態によっては市場価値が残るケースもあります。
ただし、税務・融資・売却のいずれの観点においても法定耐用年数は重要な基準となるため、その意味を正確に把握しておくことが大切です。
新築の木造アパートを取得した場合は、法定耐用年数22年をそのまま償却期間として使用します。
一方、中古物件を取得した場合は、すでに経過した年数に応じて残りの償却期間が短縮されるため、計算の前提が新築とは異なるのがポイントです。
中古物件における耐用年数の算定方法については、記事の後半で詳しく解説します。
参考: 国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表(建物/建物附属設備)」

新築の木造アパートを取得した場合には、法定耐用年数22年・償却率0.046をそのまま用いて減価償却費を計算します。
ただし、一棟アパートの購入価格には土地と建物が含まれており、このうち土地の部分は償却することができないため、購入価格を土地と建物に分ける作業(按分)が必要です。
按分の方法としては、主に以下の2つが用いられます。
ひとつ目は、消費税額から逆算する方法です。
消費税は建物部分にのみ課税されるため、売買契約書に消費税額が記載されている場合は「消費税額 ÷ 消費税率」で建物価額を算出できます。
ふたつ目は、固定資産税評価額の比率を用いて按分する方法です。
この方法は契約書に消費税額の記載がない場合や、土地・建物の内訳が不明な場合に用いられます。
いずれも購入時の契約書や固定資産税の納税通知書を確認したうえで計算する必要があるため、誤って書類を処分してしまうといったことがないよう注意しましょう。
按分方法の詳細や個別の判断については税理士などの専門家に確認することをおすすめします。
ここでは一例として、以下の前提条件で減価償却費の計算を行ってみましょう。
この場合の年間減価償却費は「5,000万円 × 0.046 = 230万円」となります。
22年間にわたって毎年230万円を経費計上できるため、保有期間中に給与所得と不動産所得を合算して申告する場合、この経費計上によって課税所得全体を圧縮できる可能性があります。
上記の計算からわかるように、減価償却費の大きさは建物の取得価額に比例する仕組みです。
同じ購入価格の場合、土地割合が高い物件よりも建物割合が高い物件のほうが、年間の償却額が大きくなります。
新築アパートの場合、購入価格全体のうち建物割合の占める比率が高いほど、減価償却による所得圧縮効果を大きく見込めるといえるでしょう。
参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表(建物/建物附属設備)」

中古の木造アパートを取得した場合は、新築のように法定耐用年数22年をそのまま使うことができません。
中古資産を取得した際は「その資産の取得時以後の使用可能期間の年数」を耐用年数とする決まりになっており、使用可能期間の見積もりが困難な場合には「簡便法」と呼ばれる計算方式を用いることになります。
簡便法では、築年数(経過年数)に応じて残りの耐用年数を算出するため、築年数が進んでいるほど償却期間が短くなり、年間の償却額が大きくなるというのが特徴です。
簡便法による耐用年数の算定式は、法定耐用年数を経過しているかどうかで異なります。
なお、計算結果に1年未満の端数が生じた場合は切り捨てとなり、また算出された年数が2年未満となった場合は最低2年として扱われます。
ここでは一例として、以下の前提条件で減価償却費の計算を行ってみましょう。
簡便法による耐用年数と年間償却費は以下のとおりです。
| 築10年の場合 | 耐用年数:22 − 10 + 10 × 0.2 = 14年(償却率:0.072) 年間減価償却費:3,000万円 × 0.072 = 約216万円 |
| 築22年超の場合 | 耐用年数:22 × 0.2 = 4年(償却率:0.250) 年間減価償却費:3,000万円 × 0.250 = 約750万円 |
このように、償却期間が短いほど年間の計上額が大きくなることが分かります。
築古物件が節税目的で選ばれる背景にはこうした仕組みがあります。
簡便法はあくまでも「使用可能期間の見積もりが困難な場合」に認められる方法です。
また、取得した中古資産に対して取得価額の50%を超える資本的支出(建物の価値や耐用年数を高める工事)を行った場合は、簡便法を使うことができなくなる点にも注意が必要です。
個別の判断については、税理士や税務署へ確認することをおすすめします。
参考: 国税庁「No.2108 中古資産を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却」 /国税庁「No.5404 中古資産の耐用年数」

ここまでの計算からわかるように、減価償却の効果は物件によって大きく異なります。
「効く」かどうかを左右する要素は主に3つで、建物割合の高さ・耐用年数の短さ・建物取得価額の大きさです。 これらの条件が重なるほど年間の償却額が大きくなり、課税所得の圧縮効果を見込みやすくなります。
購入価格に占める建物の比率が高いほど、償却できる金額のベースが大きくなります。
都心部など地価が高いエリアでは土地割合が高くなりやすく、相対的に建物割合が低くなる傾向があるため、物件ごとの按分内容を確認することが重要です。
前章で解説したとおり、築22年超の木造アパートは簡便法によって耐用年数が最短4年となるため、年間の償却額が大きくなります。
短期間で多額の経費を計上できることから、高所得者が保有初期の税負担を抑えたい場合に活用できる手段といえるでしょう。
土地割合が高い物件は、建物部分の取得価額が相対的に小さくなるため、年間の償却額が限られます。
新築の場合は法定耐用年数の22年間にわたって少しずつ償却していく形になるため、1年あたりの計上額は中古・築古と比べて小さくなります。
いくら耐用年数が短くても、計上できる金額のベースが小さければ、絶対額としての償却効果は限定的です。
減価償却費の計上によって不動産所得が赤字になった場合、その赤字を給与所得などと合算することで課税所得を減らせる「損益通算」という仕組みがあります。
ただし、土地取得に係る借入金の利子に相当する部分は損益通算の対象外となる場合があるため、詳細は税理士などにご確認ください。
減価償却を節税目的で活用する場合は、損益通算の適用範囲を正確に把握したうえで計画を立てることが重要です。
参考: ・国税庁「No.2250 損益通算」

減価償却は保有中の税負担を軽減できる一方で、売却時における課税との関係を理解しておかないと、想定外の税負担につながりかねない点に注意が必要です。
節税効果と売却時の課税増加をセットで理解しておくことが、長期的な収益計画の精度向上につながります。
減価償却費を毎年計上していくと、帳簿上の建物の価値(簿価)は年々下がっていくことになります。
たとえば建物取得価額5,000万円・年間償却費230万円の新築木造アパートを10年間保有した場合、建物の簿価は「5,000万円 − (230万円 × 10年)= 2,700万円」となる計算です。
この簿価の低下が、売却時の課税所得の計算に直接影響してきます。
建物を売却した際の譲渡所得は以下の計算式で求められます。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 − 減価償却累計額)− 譲渡費用
つまり、減価償却を多く計上するほど取得費が下がり、売却時の譲渡所得が大きくなるという仕組みです。
保有中に減価償却で節税した分が、売却時に課税所得として表面化するイメージといえるでしょう。
譲渡所得に対する税率は、物件の保有期間によって異なります。
売却した年の1月1日時点における保有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」として約39.63%、5年超の場合は「長期譲渡所得」として約20.315%の税率が適用されます。
築古物件は償却期間が短く保有初期に大きな節税効果を得やすい反面、短期間で売却すると税率が高くなってしまうため、保有期間5年超を意識した出口設定が重要といえるでしょう。
減価償却による節税は、あくまで課税のタイミングを将来に繰り延べるだけという側面があります。
保有中の節税額と売却時の課税増加額を合わせてシミュレーションすることで、投資全体の収支を正確に把握することが可能です。
特に築古物件を短期間で売却するケースでは、節税効果よりも売却時の課税負担が上回る可能性もあるため、出口戦略を含めた総合的な判断が欠かせません。
参考: 国税庁「No.3252 取得費となるもの」/国税庁「No.3261 建物の取得費の計算」/国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」
A. 持ち続けることは可能です。
法定耐用年数はあくまで税務上の償却期間であり、建物の実際の寿命を示すものではありません。
ただし、償却期間が終了すると減価償却費を経費として計上できなくなるため、保有中の節税効果はなくなる点を理解しておく必要があります。
購入前のシミュレーション段階から、償却期間終了後の収支への影響を織り込んでおくことが重要です。
A. 簡便法により算出された耐用年数が4年であれば、原則として4年間で償却することになります。
ただし、取得価額の50%を超える資本的支出を行った場合は簡便法が使えなくなるなど、適用条件には注意が必要です。
A. 一般的には、売買契約書に記載された消費税額から逆算する方法、または固定資産税評価額の比率を用いる方法で算出します。
按分の方法によって建物取得価額が変わる他、年間の減価償却費にも影響するため、恣意的な按分は税務上のリスクになりうる点に注意が必要です。
合理的な根拠にもとづいた按分を行うことが求められるため、判断に迷う場合は税理士にご相談ください。
減価償却は正しく活用すれば保有中の税負担を軽減できる制度ですが、出口戦略との兼ね合いを見落とすと想定外の課税につながる可能性があります。
物件の構造・築年数・保有期間・売却タイミングを総合的に考慮したうえで、投資計画を組み立てることが大切です。
TSONでは、会員の方を対象に専門スタッフへの無料相談を受け付けています。
減価償却を含めた税務戦略や物件選定について個別にサポートを受けたい方は、ぜひ無料会員登録のうえご活用ください。
新卒で株式会社リクルートに入社したのち、20代のうちに起業する。
2014年株式会社鎌倉新書取締役に就任、同社はマザーズに上場(現在はプライム市場)。
リーマンショック後に個人で不動産投資を始める。地方築古、区分マンション、民泊運営、中古RC、新築RCなどの投資を経験。
自身のITスキルを活かして、情報収集ツールや物件の収益分析ツールを自作し、最小の労力で最良の意思決定をすることを強みにしている。
京都大学農学部卒業。
7億件の不動産ビッグデータから、投資勝率をAIがスコアで可視化。投資判断で欠かせない重要指標だけでなく、立地の将来人口予測、地価上昇、賃料動向も瞬時にグラフ化します。物件購入時の見えないリスクを教えてくれます。
CATEGORIES