学んだ知識を、今すぐ実践。
AI物件診断ツール「勝率一番」
成功確率をAIがスコアリング
○年後のCFまで可視化
何回でもシミュレーション可能
すべてLINEで受け取れます
すべてLINEで受け取れます

不動産投資は、株式投資などと比較してひとつひとつの取引額が大きく、保有期間も長期にわたる点が特徴です。
そのため、購入時の印象や物件広告の数字だけで判断してしまうと、融資審査で想定外の結果を招いたり、購入後の資金繰りに苦しんだりするリスクが高まります。
金融機関がアパートローンの審査を行う際には、物件の収益性だけでなく、借入者の返済能力や物件の担保価値についても総合的に確認します。
実際に、国土交通省が行った「令和6年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」では、金融機関が融資審査で重視する項目として「担保評価」と「返済能力」が上位に挙げられていました。
つまり、金融機関の視点では物件そのものの収益力と、返済に対する余力の両面が審査のポイントになっているといえるでしょう。
この「収益力」と「返済余力」を数値化したものが、利回り・返済比率・LTV・DSCRという4つの指標です。
利回りは物件の収益性を測る指標であり、返済比率とDSCRは返済に対する余力を示す指標にあたります。
またLTVは、融資額と物件評価額のバランスを示すことで、担保としての安全性を測る役割を担っています。
これらの指標は、それぞれが独立して機能するものではありません。
4つの指標を組み合わせながら確認することで、初めて物件や融資条件の妥当性を多角的に判断できるようになります。
次章からは、それぞれの指標について計算式や目安となる水準を順番に解説していきます。

不動産投資における利回りとは、投資額に対してどの程度の収益を得られるかを示す指標です。
一般的に「利回り」という言葉には、表面利回りと実質利回りという2つの種類があります。
この2つを混同したまま物件を比較してしまうと、実際の収益性を正しく把握することができません。
表面利回りとは、年間の家賃収入を物件価格で割って算出する指標です。
表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格×100
たとえば、物件価格が8000万円で年間家賃収入が640万円の場合、表面利回りは8パーセントとなります。
この計算方法はシンプルで比較しやすい反面、管理費や固定資産税、修繕費といった経費を一切考慮していません。
そのため、表面利回りはあくまで物件同士を大まかに比較する際の目安として捉えることが大切です。
広告などで表示されている利回りの多くは、この表面利回りである点にも注意しておきましょう。
実質利回りとは、年間家賃収入から必要経費を差し引いたうえで算出する指標です。
実質利回り(%)=(年間家賃収入-年間経費)÷物件価格×100
経費には、管理費、固定資産税、火災保険料、修繕費などが含まれます。
経費の割合は物件によって異なりますが、家賃収入の15~20パーセント程度を見込むケースが一般的とされています。
先ほどと同じ物件価格8000万円・年間家賃収入640万円の例で考えてみましょう。
経費率を20パーセントと仮定すると、年間経費は128万円となり、年間の純収益は512万円です。
この場合の実質利回りは6.4パーセントとなり、表面利回り8パーセントとの間には1.6ポイントの差が生じます。
このように、同じ物件であっても表面利回りと実質利回りの数字には大きな開きが生まれるため、物件を選定する際は必ず両方の数値を確認するようにしましょう。

利回りが物件の収益性を示す指標であるのに対し、返済比率は融資の安全性を測る代表的な指標です。
返済比率は「返済負担率」とも呼ばれ、金融機関がアパートローンの審査において重視する基準のひとつとされています。
返済比率とは、年間のローン返済額が年間家賃収入に対してどの程度の割合を占めるかを示す指標です。
返済比率(%)=年間返済額÷年間家賃収入×100
たとえば年間家賃収入が700万円の物件において、年間のローン返済額が385万円である場合の返済比率は55パーセントです。
この数値が低いほど返済に余裕があると評価され、逆に高いほど収益に対する返済負担が重いと判断されます。
アパートローンにおける返済比率の安全ラインは、一般的に50~60パーセント程度とされています。
この水準であれば、空室の発生や家賃下落といったリスクが生じた場合でも、一定の余裕を持って返済を継続しやすいと考えられているためです。
一方、返済比率が60パーセントを超えてくると、手元に残る家賃収入の割合が40パーセント未満となり、管理費や修繕積立金、固定資産税などの必要経費を差し引いた後のキャッシュフローが圧迫されやすくなります。
この状態で空室や金利上昇が重なると、手元資金の取り崩しや追加借入によって収支を補填せざるを得ない局面が生じる可能性もあるでしょう。
返済比率という指標は住宅ローンにも用いられますが、住宅ローンとは算出の基準が異なる点に注意が必要です。
住宅ローンは借入者本人が居住する物件を取得するためのローンであり、返済比率は借入者の給与所得など個人の年収を基準に算出します。
一方のアパートローンは投資用の収益物件を取得するためのローンであるため、返済比率は物件から得られる家賃収入を基準に算出するというのが大きな違いです。
これは、アパートローンにおける返済原資が借入者の給与所得ではなく、あくまで物件の家賃収入であることを前提としているためです。
返済比率の詳しい計算例や、金利上昇時のシミュレーションについては、以下の記事で詳しく解説しています。

返済比率が「収入に対する返済負担」を測る指標であるのに対し、LTV(Loan to Value、融資比率)は「物件の評価額に対して、どの程度の割合を借入で賄っているか」を示す指標です。
LTVは、金融機関が担保としての安全性を判断する際に重視する基準のひとつとされています。
LTVとは、物件の評価額に対してローンの融資額がどの程度の割合を占めるかを示すもので、計算式は以下のとおりです。
LTV(%)=融資額÷物件評価額×100
たとえば、物件評価額が9000万円で融資額が7200万円である場合、LTVは80パーセントとなります。
この数値が低いほど自己資金の比率が高く、金融機関にとってはリスクの小さい融資と判断されやすいでしょう。
反対にLTVが高い状態は自己資金の比率が低く、レバレッジを効かせた投資であることを意味します。
一棟アパート投資におけるLTVは、一般的に80~85パーセント程度が標準的な水準とされています。
つまり、9000万円の物件であれば、7200万から7650万円程度が融資の基本ラインとなる計算です。
ただしこの水準はあくまで目安であり、借入者の属性や物件の担保評価によって変動する点には注意が必要です。
上場企業勤務や公務員といった安定した属性であり、かつ物件の収益性や立地が優れている場合には、LTV90パーセント以上での融資が認められるケースもあります。
逆に、属性に不安がある場合や築古物件で担保評価が低い場合には、LTVが70パーセント程度まで引き下げられることもあるでしょう。
LTVが高い状態が長く続くと、物件を売却してもローン残高を完済できないリスクが高まります。
また担保余力が乏しいと判断されるため、追加融資を受ける際の審査においても不利に働きやすくなる点に留意しておく必要があるでしょう。
なお、LTVは融資額が一定であっても、物件評価額の変動によって数値が変わるという特徴があります。
購入時点では問題のない水準であっても、建物の経年劣化や周辺相場の下落によって物件評価が下がれば、LTVは上昇することになります。
そのため、保有中も定期的に自身のLTVを確認する習慣を持つことが望ましいといえるでしょう。
複数棟への投資拡大を検討する際にLTVがどのように上限を左右するかについては、以下の記事で詳しく解説しています。

利回り・返済比率と並んで、金融機関の融資審査や不動産の収益性評価に用いられる指標がDSCR(Debt Service Coverage Ratio、借入金償還余裕率)です。
DSCRは、不動産証券化協会(ARES)の用語集において、借入金の返済をどれだけ安全に行えるかを判断するための指標として説明されています。
DSCRとは、一定期間の純営業収益(NOI)を、同期間の借入金の元利返済額で割って求める指標です。
DSCR=NOI(純営業収益)÷年間元利返済額
ここでいうNOI(Net Operating Income)とは、家賃収入から管理費や固定資産税、修繕費といった運営費用を差し引いた、不動産経営そのものから生み出される収益のことです。
たとえば、年間のNOIが700万円で、年間の元利返済額が500万円である場合、DSCRは1.4となります。
DSCRの数値が大きいほど、収益が返済額に対して十分な余裕を持っていることを意味し、安全性が高いと判断されやすいでしょう。
不動産証券化協会(ARES)の用語集では、DSCRが1.0を下回る場合、純営業収益だけでは元利返済を賄いきれない状態であると説明されています。
この場合、返済のために自己資金からの持ち出しが必要になる可能性があるため、注意が必要な水準といえるでしょう。
なお、DSCRの安全水準については金融機関や物件の種類によって目安が異なり、公的な統一基準としての具体的な数値は確認できていません。
そのため、まずはDSCRが1.0を下回らない状態を維持することを最低限のラインとして意識しておくとよいでしょう。
DSCRと返済比率は、いずれも収益に対する返済負担を測るという点で共通していますが、着眼点が異なります。
返済比率は「家賃収入に対する返済額の割合」を示すのに対し、DSCRは「経費控除後の純収益に対して、返済額を何倍カバーできるか」を示す指標です。
そのため、家賃収入が同じ物件であっても、経費率が高い物件であればDSCRは低く算出される傾向があります。
返済比率だけでなくDSCRも確認することで、経費構造まで踏まえた返済の安全性を把握できるという点が、この指標を併用する意義といえるでしょう。

ここまで、利回り・返済比率・LTV・DSCRという4つの指標について、それぞれの計算式と目安を確認してきました。
これらの指標は独立して存在するものではなく、互いに影響し合う関係にあります。
ここで一度、それぞれの指標がどのような関係にあるのかを整理してみましょう。
利回りが高い物件であっても、融資額が過大でLTVが高い水準にある場合、金融機関からの評価は厳しくなりやすい傾向があります。
また返済比率が低く見える物件であっても、経費率が高くDSCRが低い場合には、実質的な収益の余裕は乏しいということも起こり得ます。
逆に、DSCRに一定の余裕がある物件であれば、金利上昇や空室発生時にも収支が崩れにくいと考えられるでしょう。
4つの指標の関係性を整理すると、以下のようにまとめられます。
| 何を測る指標か | 目安となる水準 | |
| 利回り(表面・実質) | 物件の収益性 | 物件やエリアにより異なる |
| 返済比率 | 家賃収入に対する返済負担 | 50〜60パーセント程度 |
| LTV | 物件評価額に対する融資額の割合 | 80〜85パーセント程度 |
| DSCR | 純収益に対する返済のカバー度合い | 1.0を下回らない水準 |
この表からも分かる通り、利回りと返済比率は「収益と返済のバランス」を、LTVとDSCRは「融資の安全性」を示すという関係にあります。
どれかひとつの数値が良好であっても、他の指標に問題がある場合には、長期的な運営リスクを見落としてしまう可能性があるでしょう。
物件を検討する際は、これら4つの指標を単独で判断材料にするのではなく、総合的に確認する習慣を持つことが重要です。
どれかひとつが最も重要というわけではありません。
利回りは物件の収益性を、返済比率とDSCRは返済の安全性を、LTVは融資の担保余力を示すというように、それぞれ役割が異なります。
物件の収益力だけが優れていても融資条件が厳しければ運営は難しくなりますし、融資条件が良くても収益性が低ければ投資としての魅力は乏しくなります。
そのため、4つの指標をバランスよく確認したうえで総合的に判断することが望ましいといえるでしょう。
似ているように見えますが、測っている対象は異なります。
LTVは「物件評価額に対して、どの程度の割合を借入で賄っているか」という資産と負債のバランスを示す指標です。
一方のDSCRは「収益によって、返済額をどの程度カバーできるか」という収支の余裕度を示す指標にあたります。
LTVが低くても、物件の収益性が乏しくDSCRが低い状態にある場合もあるため、両方をあわせて確認する必要があるでしょう。
返済比率やDSCRが良好な水準であっても、融資が確約されるわけではありません。
国土交通省の調査でも、金融機関は担保評価や返済能力に加え、借入者の属性や勤務先、既存の借入状況など複数の要素を総合的に確認していることが分かっています。
返済比率やDSCRはあくまで判断材料のひとつであり、融資の可否は複数の要素を組み合わせて総合的に決定されるという点を理解しておくとよいでしょう。
利回りの適正水準は、物件のあるエリアや構造、築年数によって異なるため、一概に「何パーセントあれば安心」とはいえません。
表面利回りの数字だけで判断するのではなく、経費を差し引いた実質利回りで確認したうえで、返済比率やDSCRとあわせて収支の余裕を確認することが重要です。
数字を単体で見るのではなく、複数の指標を組み合わせて物件の健全性を判断する視点を持つようにしましょう。
不動産投資は長期にわたって資産を保有する投資であるからこそ、感覚ではなく数字に基づいた判断が求められます。
今回ご紹介した4つの指標を押さえておくことで、物件選びや融資条件の妥当性をより正確に見極められるようになるでしょう。
TSONでは会員の方を対象に無料相談を受け付けておりますので、指標の見方や融資計画に不安のある方は、ぜひ登録のうえご相談ください。
新卒で株式会社リクルートに入社したのち、20代のうちに起業する。
2014年株式会社鎌倉新書取締役に就任、同社はマザーズに上場(現在はプライム市場)。
リーマンショック後に個人で不動産投資を始める。地方築古、区分マンション、民泊運営、中古RC、新築RCなどの投資を経験。
自身のITスキルを活かして、情報収集ツールや物件の収益分析ツールを自作し、最小の労力で最良の意思決定をすることを強みにしている。
京都大学農学部卒業。
7億件の不動産ビッグデータから、投資勝率をAIがスコアで可視化。投資判断で欠かせない重要指標だけでなく、立地の将来人口予測、地価上昇、賃料動向も瞬時にグラフ化します。物件購入時の見えないリスクを教えてくれます。
CATEGORIES