豊海タワーの新築転売って何?マンションの新築転売は違法?

東京都中央区に建設中の「ザ・豊海タワー マリン&スカイ」を巡り、“新築転売”が大きな注目を集めています。
一部では「一人で複数戸当選している」「引き渡し前の売買が行われている」といった噂も飛び交っており、「これって違法なのでは?」と疑問を持つ声も少なくありません。

そこでこの記事では、豊海タワーにおける新築転売の背景と仕組みを解説します。
新築転売の問題点や違法性についてもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

新築転売とは?

まずは新築転売の基本的な仕組みについて解説していきます。
また合わせて、豊海タワーにおける新築転売の概要もチェックしていきましょう。

新築転売の仕組み

新築転売とは、新築マンションを購入し、引き渡し後すぐもしくは短期間で第三者に売却して差益を得ようとする投資行為の一種です。
例えば、販売価格1億2,000万円の新築マンションを購入したとします。
これを引き渡し後に1億4,000万円で売却すれば、2,000万円の利益を得られます。(諸費用除く)
こうした手法は、不動産を「住むための場所」ではなく「資産」として捉える投資家の間で広く行われています。

ただし、新築マンションは戸数に限りがあるため、希望すれば必ず購入できるというものではありません。
特に、新築物件数が少ない首都圏などの地域では、新築マンションに需要が集中しやすいことから、ほとんどのケースで抽選販売という形がとられています。
とは言え、この抽選に当選できれば大きな利益を“ほぼ確実に”得られるお宝物件が手に入るため、国内外問わず多くの投資家が購入の機会を狙っているのです。

豊海タワーが話題を集める理由

東京都中央区の豊海エリアで建設中の「ザ・豊海タワー マリン&スカイ」は、三井不動産などが手がける全2,046戸の超大規模タワーマンションです。
本物件は、建築工事中の耐震性確認などで販売時期に遅れが出たものの、その間に上昇した周辺相場を反映させず、当初の価格から据え置いた状態で販売を行ったため、“割安物件”として注目を集めました。
つまり、相場よりも安くマンションを購入でき、かつ引き渡し後すぐに転売すれば相場程度の価格でも数千万円~1億円近い利益を得られる可能性があるということです。

豊海タワーの転売で見込まれる利益

豊海タワーにおける新築転売は、「短期間で高利益を得られる可能性がある」として、個人・法人を問わず投資家たちの熱視線を集めています。
では、具体的にどの程度の利益が見込まれるのでしょうか。実例をもとに見ていきましょう。

豊海タワーの利益シミュレーション

豊海タワーを1期1次で購入した場合、どのぐらい儲かる見込みなのでしょうか?
2024年に9月に販売された時点で、2LDKの部屋の平均坪単価は599万円でした。
70平米の部屋だとすると、1億2,700万円になります。

これに対して、近隣のパークタワー勝どきサウス・ミッド(2023年築)の中古物件の取引額は2025年5月時点で、坪単価840万円〜1,150万円となっています。
パークタワー勝どきサウス・ミッドは駅直結なので、豊海タワーより立地条件は上ですが、築年数は豊海の方が4年若くなります。
仮に豊海タワーの坪単価が800万円程度で取引されるとなると、70平米では1億6,900万円となります。

16,900万円 ー 12,700万円 = 4,240万円

仲介手数料として500万円ほど差し引いても、3,000万円程度の利益が生まれます。
必要な手付金は10%ですので、2024年9月の引渡しから2027年秋の引渡しまでの3年間で、1,290万円が3,740万円(約2.9倍)に増える計算です。※別途税金を支払う必要があります。

過去の事例から見る期待値

湾岸エリアでは、過去にも「晴海フラッグ」や「パークタワー勝どき」などの大型プロジェクトにおいて、販売価格の1.5〜2倍で転売されたという実例が多数報告されています。
特に「パークタワー勝どき」は短期間で価格が跳ね上がったケースとして知られており、中には販売価格1億円台の住戸が2〜3年以内に2億円前後まで上昇したケースも存在します。
豊海タワーも、立地・開発規模・供給数などの条件が揃っているため、同様の値上がりを期待する声が高まっているのです。

転売戦略の選択肢も多い

さらに、豊海タワーのような新築マンションは売却方法にも柔軟性があります。

  • 完成直後に高値で売り抜ける“即転売”型
  • 2〜3年賃貸で回して相場上昇を待つ“長期転売”型
  • 家具付きやリフォーム済み物件として価値を高める手法

このように「出口戦略」を工夫することで、キャピタルゲインの最大化を図ることが可能です。
特に湾岸エリアの物件は、富裕層や海外投資家からのニーズがあり流動性も高いため、転売戦略で高利益を狙える可能性は十分にあると言えるでしょう。

新築転売が過熱する背景と問題点・違法性

多くの投資家が注目する新築転売ですが、この仕組みには問題点も存在します。
ここからは、新築転売のリスクと違法性の有無について詳しく見ていきましょう。

なぜ新築転売が過熱しているのか

東京湾岸エリアにおける新築マンション市場は、近年異常なまでの高倍率抽選が常態化しています。
豊海タワーも例外ではなく、抽選申し込みに対しては「一世帯一申込」「同一代表者の重複申込禁止」「法人名義の制限」など厳しいルールも設けられました。
にもかかわらず、10戸以上の契約を行っている人物(業者)が見つかるといった状況が発生したことで、現在は以下のような抜け道・取引があるのではないかという疑いの声が大きくなっています。

申込代行日当1万円などの報酬で人を雇って抽選に参加させる方法です。当選時は数百万円の追加報酬が支払われるケースもあります。
引き渡し前の譲渡契約建物引き渡し後の名義変更を前提とした「仮契約」を行う方法です。二重で不動産取得税が発生するケースがあるものの、それを踏まえても十分な利益が出ると見込まれています。
不動産業者向けの複数販売一部の部屋を抽選に回さず、不動産業者に直接販売する方法です。これは、一定の部屋数を計画的に処理するために行われていることがあります。
特定の優良顧客に向けたクローズド販売(アンダー)特定の顧客に対して、抽選を実施する前に販売することがあります。これらの取引のことを「アンダー」販売と呼びます。

こうした事情も含め、新築転売は一部の投資家にとって短期間で高収益を狙える魅力的な手段となっているのです。

新築転売の問題点は?

新築転売の拡大により、本来その物件に住みたい実需層が購入できないという問題が深刻化しています。
また、以下のような経済的・社会的な課題も存在します。

  • 転売を前提とした購入が増えると、住宅が実際の生活の場として機能しづらくなる
  • 売買のたびに発生する取得税・仲介手数料などでコストが膨らむ
  • 投資家にとってはリスクと隣り合わせの“投機的行為”となる可能性も

つまり、誰もが確実に儲かるわけではなく、社会的影響や損失リスクもある投資行為であることを理解しておく必要があります。

違法性の有無について

新築マンションを転売する行為自体に違法性はありません。
不動産を購入・保有・売却することは民法で認められた権利であり、利益を得ることも正当な行為です。
ただし、以下のような行為は違法または契約違反とされる可能性があります。

  • 抽選時の虚偽申告や名義貸し
  • 販売契約で禁止されている引き渡し前の譲渡
  • 同一人物が複数名義で申込むなどの規約違反

このようなケースでは、販売会社から契約解除や損害賠償を求められるリスクもあるため、安易に“儲かるから”という理由だけで手を出すのは危険だと言えるでしょう。

豊海タワーの新築転売に関する話題まとめ

「豊海タワー新築転売」とは、相場より安く新築マンションを手に入れ、短期間で売却して利益を得るという不動産投資手法の一つです。
現在の湾岸エリアの価格高騰を背景に、当選さえすれば数千万円〜1億円の利益も夢ではないとして、大きな注目を集めています。一方で、新築転売には法的リスクや社会的問題、また思わぬ損失リスクなども存在します。
“合法か違法か”という単純な話ではなく、どのような手段で、どのように取引するかが問われる投資手法であることを理解しておくことが重要です。

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