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「減価償却(げんかしょうきゃく)」とは、時間経過や使用によって減った資産価値を一定期間にわたって費用計上する仕組みです。不動産投資においては、主に建物部分の価値が下がっていくと考えられています。例えば築年数が20年の建物でも、1年後には古くなった分の価値が更に落ちます。その落ちた価値を「減価」として、毎年少しずつ費用に計上していきます。

減価償却を行う目的

  1. 正しい利益を計算する
    資産の購入時にすべてを費用計上するのではなく、一定期間に分割して計上します。これにより、実態に即した利益を計算できるようなります。
  2. 節税効果を高める
    減少した価値を毎年の費用として計上するため、課税所得(≒利益)を圧縮しやすくなります。結果的に税負担が軽くなる可能性があります。
  3. 投資の計画を立てやすくする
    どのくらいの期間でいくらの減価償却費を計上できるかを見通せると、投資による収支計画をシミュレーションしやすくなります。

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減価償却の対象と耐用年数

投資用不動産で一般的に減価償却の対象となるのは「建物部分」です。土地は減価しない資産なので、原則として減価償却の対象にはなりません。

建物については材質や構造によって異なる法定耐用年数が設定されています。例えば、木造アパートであれば22年、鉄骨造やRC造であれば47年となっています。

中古物件の場合の耐用年数

中古の投資用不動産はすでに築年数が経過しており、新築の法定耐用年数は適用されません。
この場合は簡便法を用いて「(法定耐用年数 – 経過年数) × 0.2」などで計算します。
ただし計算方法は物件や状況によって異なる場合があるため、詳しくは税理士などにご相談ください。

耐用年数についてはこちらの記事も参考にしてください。

減価償却の計算方法

大まかに「定額法」と「定率法」の2つの方法があります。現在は「定額法」が原則とされており、一定年数で均等に費用化していくイメージです。

定額法の計算イメージ

[
\text{減価償却費} =
\frac{\text{取得価格(建物部分)}}{\text{法定耐用年数}}
]

建物にかかった費用を法定耐用年数で割り、毎年同じ金額を経費として計上します。

減価償却を考慮した投資メリット

  1. 安定したキャッシュフロー
    減価償却費は実際の現金支出を伴わない費用です。そのため家賃収入でプラスになった部分を適切に圧縮して税負担を軽減できます。その結果、手元に残るキャッシュフローが増えやすくなるメリットがあります。
  2. 中古物件の節税効果
    中古物件を取得した際、法定耐用年数が短くなることがあります。これにより、短い期間で多くの減価償却費を計上できるケースがあり、結果的に早期の節税効果が期待できます。
  3. 資産の買い替え・追加投資がしやすい
    減価償却で税負担が抑えられると、ローン返済や投資を行いやすくなります。長期的な資産形成の戦略も立てやすくなるでしょう。

注意点

  1. 土地や設備・外構などの区分
    建物の付帯設備や外構工事部分にもそれぞれ別の耐用年数があり、区分して計上する必要があります。また土地は減価償却できないため、建物分けて取得価格を計算しなければなりません。
  2. 勘定科目や経理処理の手間
    建物や設備ごとに「建物」「構築物」「器具備品」など正しい科目分けによる費用計上が必要です。税務申告に誤りがあると修正申告や追徴課税が発生する可能性があります。不安な場合は専門家への確認がおすすめです。
  3. 売却時に生じる税金への考慮
    長期的に減価償却をした結果、帳簿上の建物価値が下がった状態で売却すると、売却益が大きく算出されます。この場合、譲渡所得税(キャピタルゲイン課税)が高額になる可能性があります。売却時の税金も考慮しながら投資シミュレーションを行うことが大切です。

減価償却によくある誤解

  1. 土地も減価償却できると思ってしまう
    土地は時間経過によって価値が減るとはみなされないため、減価償却の対象外です。建物や設備とは区分して考えましょう。
  2. 減価償却費は「支出がないのに経費を作れるラッキーな仕組み」だけだと思う
    確かに、家賃収入を得ても「経費を増やす形」で節税できるのが減価償却の特徴です。一方で、将来売却する際に「帳簿上の建物価値が下がっている→売却益が大きくなる」可能性がある点も理解が必要です。
  3. 耐用年数が過ぎても減価償却できると思い込む
    原則として、法定耐用年数が経過すると減価償却費は計上できなくなります。一定の追加償却が認められるケースもあるものの、通常は耐用年数が終わると経費としての減価償却費はなくなります。
  4. 中古物件ならいつでも耐用年数が大幅に短くなると思う
    中古物件の耐用年数は「簡便法」などで計算しますが、必ず短くなるとは限りません。築年数が経っている物件でも、条件によってはあまり短くならない場合もあります。
  5. 修繕費と減価償却の区分が曖昧になりがち。
    建物の一部を修理したり、設備を交換したりする場合、それが「修繕費」になるのか「資本的支出(減価償却対象)」になるのかで、経費計上のタイミングが変わります。判断が難しい部分もあるため、税理士などの専門家に確認するのがおすすめです。

減価償却を理解するためのQ&A

Q1. 「土地も減価償却するの?」

A. いいえ、土地は減価償却の対象外です。土地は時間の経過や使用によって価値が減らないと考えられており、法律上も減価償却できません。不動産を購入した際は、「土地」と「建物」を明確に区分しておく必要があります。

Q2. 「耐用年数が終わったら、もう節税はできないの?」

A. 原則として、法定耐用年数が終了した建物に対しては、通常の減価償却費を計上することはできません。ただし、場合によっては耐用年数を延長したり、追加償却が認められたりすることもありますが、一般的には法定耐用年数終了後の減価償却は行わないのが基本です。

Q3. 「中古物件は耐用年数が短いから、いつでも大幅に節税できるって本当?」

A. 一概に「大幅に節税」できるとは限りません。築年数が相当経過していれば、簡便法等により耐用年数が短くなるケースは多いですが、一律で大きく短くなるわけではありません。物件の状態や経過年数、構造によって計算方法が異なるため、事前に税理士などに確認してシミュレーションをすることが重要です。

Q4. 「減価償却費は“実際にお金が出ていかない”のに経費になるのは、なぜ?

A. 購入時に支出した建物代を、法定耐用年数にわたって分割計上しているからです。本来は建物の代金として既に現金が出ているため、「その資産の価値が毎年減っている分」を少しずつ経費に計上するイメージです。これが実際にキャッシュアウトしない費用となる理由です。

Q5. 「修繕やリフォーム費用も減価償却すればいいの?」

A. 修繕・リフォーム費用が「資本的支出」なのか「修繕費」なのかで扱いが変わります。建物の価値を高めるような大規模リフォームなどは資本的支出とみなされ、減価償却の対象となります。一方、日常的な修理・修繕の範囲であれば修繕費となり、かかった年度に一括で経費計上できます。判断はケースバイケースなので、税理士などに確認しましょう。

Q6. 「減価償却をしっかり取っていると、売却時に損するって聞いたけど?」

A. 減価償却によって帳簿上の建物価値が下がると、売却益が大きくなる可能性はあります。売却益が大きいほど譲渡所得税が増えるため、一時的な課税が高くなる点は注意しなければなりません。ただし、長期的に見れば、減価償却を活用して運用期間中のキャッシュフローを安定させ、資金を効率的に活用するメリットの方が大きいケースもあります。売却時だけでなく、運用全体のスキームで考えるとよいでしょう。

まとめ

減価償却は、不動産投資における大切なポイントのひとつです。正しい知識を持つことで、毎年の税負担を抑えながら、安定的なキャッシュフローの確保や将来の投資戦略を組み立てることができます。一方で、中古物件を含む様々なケースで計算方法や耐用年数が変わるため、具体的な計画を立てる際には税理士など専門家のサポートを受けることをおすすめします。

不動産投資を成功に導くためには、キャッシュフローの計算だけでなく、物件選びや運用計画、将来的な売却までを含めて総合的に検討することが重要です。その中で、減価償却の制度を正しく理解し、活用することが利益最大化への近道になるでしょう。

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増澤 貞昌

増澤 貞昌

不動産投資家 宅地建物取引士 令和3年行政書士試験合格

新卒で株式会社リクルートに入社したのち、20代のうちに起業する。
2014年株式会社鎌倉新書取締役に就任、同社はマザーズに上場(現在はプライム市場)。
リーマンショック後に個人で不動産投資を始める。地方築古、区分マンション、民泊運営、中古RC、新築RCなどの投資を経験。
自身のITスキルを活かして、情報収集ツールや物件の収益分析ツールを自作し、最小の労力で最良の意思決定をすることを強みにしている。
京都大学農学部卒業。

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