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2026年6月の新規貸出額は4兆4,600億円となり、前回(2026年3月:5兆3,087億円)から▲8,487億円(前四半期比▲16.0%)の大幅減少を記録しました。
またフラット35の借入金利は3.21%と、集計期間で初めて3%台に到達しました。
前回(2026年3月:2.25%)から0.96ポイントの上昇であり、わずか1四半期でこれほどの上昇幅を記録したのは集計期間を通じて最大となっています。

| 年月 | 新規貸出額(億円) | フラット35借入金利 | 前年比 | 前年比増減(億円) | 前四半期比 | 前四半期増減(億円) |
| 2022/06 | 40222 | 1.49% | 1.4% | 539 | -13.8% | -6417 |
| 2022/09 | 41522 | 1.52% | -1.4% | -604 | 3.2% | 1300 |
| 2022/12 | 39249 | 1.65% | -6.6% | -2773 | -5.5% | -2273 |
| 2023/03 | 46827 | 1.96% | 0.4% | 188 | 19.3% | 7578 |
| 2023/06 | 39376 | 1.76% | -2.1% | -846 | -15.9% | -7451 |
| 2023/09 | 43814 | 1.80% | 5.5% | 2292 | 11.3% | 4438 |
| 2023/12 | 44449 | 1.91% | 13.2% | 5200 | 1.4% | 635 |
| 2024/03 | 51810 | 1.84% | 10.6% | 4983 | 16.6% | 7361 |
| 2024/06 | 45687 | 1.85% | 16.0% | 6311 | -11.8% | -6123 |
| 2024/09 | 47891 | 1.82% | 9.3% | 4077 | 4.8% | 2204 |
| 2024/12 | 45239 | 1.86% | 1.8% | 790 | -5.5% | -2652 |
| 2025/03 | 52500 | 1.94% | 1.3% | 690 | 16.1% | 7261 |
| 2025/06 | 46285 | 1.89% | 1.3% | 598 | -11.8% | -6215 |
| 2025/09 | 46233 | 1.89% | -3.5% | -1658 | -0.1% | -52 |
| 2025/12 | 46320 | 1.97% | 2.4% | 1081 | 0.2% | 87 |
| 2026/03 | 53087 | 2.25% | 1.1% | 587 | 14.6% | 6767 |
| 2026/06 | 44600 | 3.21% | -3.6% | -1685 | -16.0% | -8487 |
住宅ローンの新規貸出額は、年度末にあたる3月期に集中しやすく、その翌四半期(6月期)には反動で落ち込む傾向があります。
過去の6月期の前四半期比を振り返ると、以下のようになっています。
| 前四半期比 | 前四半期増減(億円) | |
| 2023/06 | -15.9% | -7,451億円 |
| 2024/06 | -11.8% | -6,123億円 |
| 2025/06 | -11.8% | -6,215億円 |
| 2026/06 | -16.0% | -8,487億円 |
過去3年の6月期はいずれも▲12〜16%程度の落ち込みを記録しており、今回の▲16.0%はその範囲内に収まっています。
季節的な反動減として想定される動きではあるものの、減少幅(億円)でみると▲8,487億円と過去3年の6月期のなかで最も大きい水準となっています。
前回(2026年3月)の貸出額が修正値(5兆3,087億円)ベースでも高水準であったことを踏まえると、反動減の大きさは前回の積み上がりの規模に概ね対応したものと読み取れるでしょう。
ただし、フラット35金利が1四半期で0.96ポイント急騰したことが需要を一段と冷え込ませた可能性もあり、純粋な季節要因だけでは説明しきれない部分が含まれている点は留意が必要です。

前年同期比では+13.8%(+7,231億円)と、大幅なプラスに転じました。
直近の前年比推移を振り返ると、以下のようになっています。
| 2025/06 | +1.3% |
| 2025/09 | ▲3.5% |
| 2025/12 | +2.4% |
| 2026/03 | +1.1% |
| 2026/06 | ▲3.6% ←今回 |
比較対象となる前年(2025年6月:4兆6,285億円)は平年並みの水準であり、単純な比較基準の高低による影響ではなく、実態としての需要鈍化が数字に表れている可能性があります。
2025年以降の前年比を振り返ると、プラスとマイナスが交互に現れる不安定な動きが続いています。
フラット35金利が3%台に達したことで、この不安定さがさらに長引く可能性があり、次四半期以降のデータが需要の方向性を見極めるうえで重要な手がかりとなるでしょう。

新規貸出額が急増した背景には、複数の要因が重なっています。
フラット35の借入金利は2026年6月に3.21%と、前回(2026年3月:2.25%)からわずか1四半期で0.96ポイント上昇し、集計期間で初めて3%台に達しました。
固定金利は借入時点の水準が返済期間を通じて適用されるため、3%台への到達は月々の返済額に直接的な影響を与えます。
たとえば借入額3,000万円・返済期間35年の場合、金利2%台と3%台では月々の返済額に相応の差が生じるため、購入を見送る・借入額を抑えるといった判断につながりやすい局面といえるでしょう。
加えて、前回(2026年3月)に「上がる前に借りておこう」という前倒し需要が集中した反動として、今回は新規の借入意欲が一時的に低下した面もあると考えられます。
3月期に貸出が集中する季節パターンはこれまでと変わらず、6月期に前四半期比で大きく落ち込む動きは過去3年でも一貫して見られています。
今回の▲16.0%はその延長線上にある動きではあるものの、金利急騰の影響が重なったことで減少幅が例年よりやや大きくなったとみられるでしょう。
建築資材や人件費の高騰を背景に、新築住宅価格は引き続き高い水準を維持しています。
金利上昇と住宅価格の高止まりが同時に進むことで、返済総額が膨らみ、家計の購買力の限界が意識されやすくなっています。
借入額の増加と金利上昇が重なるほど返済負担は大きくなるため、購入判断を先送りする動きが強まっている可能性があるでしょう。
住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)や省エネ住宅に関連する補助金など、国による支援策は引き続き住宅取得の意欲を下支えしています。
ただし、金利上昇の幅が大きい局面では政策支援の効果が相対的に薄れる可能性もあり、制度の内容と需要への影響を引き続き注視する必要があるでしょう。
今後の住宅ローン融資動向を占ううえで、注視すべきポイントは次の通りです。
今回のデータでフラット35の金利は3.21%に達しており、今後この水準が定着するかどうかが最大の注目点です。
3%台が続くようであれば、長期固定での借入を検討していた層を中心に購買意欲がさらに冷え込む可能性があり、新規貸出額の水準を押し下げる方向に働くとみられます。
一方で、市場がこの金利水準に慣れることで「金利耐性」が生まれ、需要が回復に向かう可能性もあるでしょう。
固定金利の上昇が目立つ一方で、変動金利を選択する借り手も依然として多いとみられます。
日本銀行がさらなる利上げを実施した場合、変動金利型ローンの返済額が増加し、既存の借り手の家計を直撃するリスクがあります。
新規借入の減少だけでなく、既存ローンの返済負担増が消費全体に影響を与える可能性もあるため、金融政策の動向は引き続き重要な注目事項です。
金利上昇と住宅価格の高止まりが同時に続く場合、返済総額の膨らみが家計の許容範囲を超えやすくなり、住宅購入の先送りが広がる可能性があります。
住宅価格が今後どう推移するかは、需要の回復を左右する重要な変数のひとつとなるでしょう。
住宅ローン減税の適用条件や省エネ住宅補助金の拡充・縮小は、融資需要に直接的な影響を与えます。
金利上昇局面においては、政策支援が需要の下支えとして機能するかどうかがより重要な意味を持つようになっており、制度改正の動向を定期的に確認しておくことが欠かせません。
金利が3%台に達したことで、住宅ローン市場はこれまでとは異なる環境に入りつつあります。
日銀の金融政策の動向・住宅価格の推移・政策支援の継続性という3つの変数が、今後の新規貸出額の方向性を大きく左右するでしょう。
四半期ごとのデータを丁寧に追うことで、市場の変化をいち早く把握していきましょう。
前回の考察記事は以下からチェックできます。
新卒で株式会社リクルートに入社したのち、20代のうちに起業する。
2014年株式会社鎌倉新書取締役に就任、同社はマザーズに上場(現在はプライム市場)。
リーマンショック後に個人で不動産投資を始める。地方築古、区分マンション、民泊運営、中古RC、新築RCなどの投資を経験。
自身のITスキルを活かして、情報収集ツールや物件の収益分析ツールを自作し、最小の労力で最良の意思決定をすることを強みにしている。
京都大学農学部卒業。
7億件の不動産ビッグデータから、投資勝率をAIがスコアで可視化。投資判断で欠かせない重要指標だけでなく、立地の将来人口予測、地価上昇、賃料動向も瞬時にグラフ化します。物件購入時の見えないリスクを教えてくれます。
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