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2022年以降、住宅ローン新規貸出額はおおむね 4兆円〜5兆円台 で推移しています。
四半期ごとの変動はあるものの、2023年3月と2024年3月には貸出額が急増し、それぞれ 約4.7兆円、約5.2兆円 に達しました。
一方で、その直後の四半期には前期比で10%以上の減少が見られるなど、短期的な変動幅が大きいのも特徴です。
注目すべきは、フラット35の借入金利です。
2022年6月時点では1.49%でしたが、2025年6月には1.89%まで上昇しました。
つまり、この3年間で0.4ポイント程度の上昇があったにもかかわらず、貸出額は大きく落ち込むことなく推移しているということです。
金利上昇が直ちに融資需要の縮小につながっていない点は、住宅ローン市場の底堅さを示すデータといえるでしょう。
この背景には、住宅価格の上昇による借入額増加や、低金利環境での借り換え需要、さらには住宅ローン減税といった政策的な後押しが作用していると考えられます。
金利の上昇と貸出額の堅調さが同時に見られるのは、今の住宅市場の特徴のひとつです。

| 年月 | 新規貸出額(億円) | フラット35借入金利 | 前年比 | 前年比増減(億円) | 前四半期比 | 前四半期増減(億円) |
| 2022/06 | 40222 | 1.49% | 1.4% | 539 | -13.8% | -6417 |
| 2022/09 | 41522 | 1.52% | -1.4% | -604 | 3.2% | 1300 |
| 2022/12 | 39249 | 1.65% | -6.6% | -2773 | -5.5% | -2273 |
| 2023/03 | 46827 | 1.96% | 0.4% | 188 | 19.3% | 7578 |
| 2023/06 | 39376 | 1.76% | -2.1% | -846 | -15.9% | -7451 |
| 2023/09 | 43814 | 1.80% | 5.5% | 2292 | 11.3% | 4438 |
| 2023/12 | 44449 | 1.91% | 13.2% | 5200 | 1.4% | 635 |
| 2024/03 | 51810 | 1.84% | 10.6% | 4983 | 16.6% | 7361 |
| 2024/06 | 45687 | 1.85% | 16.0% | 6311 | -11.8% | -6123 |
| 2024/09 | 47891 | 1.82% | 9.3% | 4077 | 4.8% | 2204 |
| 2024/12 | 45392 | 1.86% | 2.1% | 943 | -5.2% | -2499 |
| 2025/03 | 52501 | 1.94% | 1.3% | 691 | 15.7% | 7109 |
| 2025/06 | 46286 | 1.89% | 1.3% | 599 | -11.8% | -6215 |
新規貸出額の四半期ごとの推移と変化
次に、短期的な動きをみてみましょう。
2023年3月や2024年3月には20%近い増加を記録していますが、その直後には10%以上の減少が起きるなど、前四半期比でみると大きな増減が目立つのが特徴です。
これは、金利環境の変化や住宅購入需要の季節要因が強く影響しているためと考えられます。
2025年6月も前期比で約▲12%と減少しましたが、これも短期的な変動の一環とみられるでしょう。

より長期的な傾向を把握するために、前年同期比を確認します。
2023年まではマイナスが目立った時期もありましたが、2024年以降は一転してプラス幅が拡大し、2024年9月には前年同期比+16%まで上昇しました。
その後は落ち着きを見せ、2025年に入ってからは前年比+1%前後と安定的に推移しています。
長期的に見ると大幅な縮小傾向はなく、住宅ローン需要は底堅さを保っていると言えるでしょう。

住宅ローン新規貸出が堅調に推移している背景には、いくつかの要因があります。
長引く低金利政策により、住宅ローンの借入コストは抑えられています。
これが新規取得だけでなく、既存ローンから低金利ローンへの借り換え需要を支える要因となっています。
都市部では人口集中による住宅需要が依然として強く、特にマンションや新築戸建を中心に堅調な需要が見られます。
一方で郊外や地方でも、中古住宅やリノベーション需要が徐々に広がっており、幅広い層が融資対象となっています。
建築資材や人件費の高騰により住宅価格は上昇しています。
そのため、頭金だけでは賄いきれず、借入額が増加する傾向にあります。
価格上昇は購入希望者にとって負担ですが、結果的に住宅ローンの新規貸出額を押し上げる一因にもなっています。
住宅ローン減税や補助金制度など、国や自治体による支援策も新規貸出を支える背景となっています。
これらの政策は購入意欲を高め、融資需要の下支えにつながっています。
今後の住宅ローン融資動向を占ううえで、注視すべきポイントは次の通りです。
日銀の金融政策転換による金利上昇は、住宅ローン需要に直結します。
低金利が続けば需要は堅調に推移する一方、金利上昇が明確になれば新規借入の勢いは鈍化する可能性があるでしょう。
価格上昇が続けば、借入額の増加と返済負担の重さが課題になります。
購買力とのバランスが崩れれば需要は減退する恐れがあり、融資動向にも影響を及ぼす可能性が高いでしょう。
少子高齢化と空き家問題を背景に、中古住宅やリノベーション市場の拡大が進むとみられます。
金融機関がこれらの取引にどこまで積極的に融資するかが、今後の動向を左右するポイントになるでしょう。
住宅ローン減税などの政策が継続されるかどうかは、融資需要を支える大きな要素です。
支援策の縮小や変更があれば、需要の鈍化リスクも出てくるでしょう。
四半期ごとのデータを追うことで、住宅市場の需要動向や金利政策の影響をタイムリーに把握できます。
次回の統計でも、貸出額の変化が住宅市場にどのように反映されるか注目していきましょう。
新卒で株式会社リクルートに入社したのち、20代のうちに起業する。
2014年株式会社鎌倉新書取締役に就任、同社はマザーズに上場(現在はプライム市場)。
リーマンショック後に個人で不動産投資を始める。地方築古、区分マンション、民泊運営、中古RC、新築RCなどの投資を経験。
自身のITスキルを活かして、情報収集ツールや物件の収益分析ツールを自作し、最小の労力で最良の意思決定をすることを強みにしている。
京都大学農学部卒業。
7億件の不動産ビッグデータから、投資勝率をAIがスコアで可視化。投資判断で欠かせない重要指標だけでなく、立地の将来人口予測、地価上昇、賃料動向も瞬時にグラフ化します。物件購入時の見えないリスクを教えてくれます。
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